英語の指導方針②

2022.04.17 ブログ


私が実践していた方法で、英単語を覚えるための最も効率の良い方法は、つづりと発音の関係を理解してしまうことです。英単語には発音とつづりの間にある程度のルールがあります。「子音+母音+子音」では中間の母音は音読みをする、しかし「子音+母音+子音+母音」になると子音に挟まれた母音はアルファベット読みをする、のようなルールです。(例えば、"cut"の間の"u"は「ア」と発音しますが、"cute"となると"u"は「ユー」と発音します。)私は、誰かに教えられたわけではありませんが、中2になる頃には、なんとなくそういうルールを掴んでいました。これができるようになるには、習う単語すべての発音記号を書き続けて、その発音記号通りに発音することが重要です。私は英会話を習っていたわけではありませんでしたし、当時小学校では英語の授業なんてありませんでした。国語の授業で簡単にローマ字を習った程度でした。だから、英語に初めて触れたのは、中学生になってからです。そしてその中学校で始めに先生に教えられたこの方法をひたすらにし続けました。宿題ではなく誰に強制されたわけでもありませんでしたが、し続けました。先生が「L」や「R」の口の動かし方を教えてくれたら、そのつづりを読むときは、いつもそんなふうに口を動かそうと口をパクパクしたり舌をクネクネさせたり奮闘していました。英語に触れてこなかった自分にとってそんなふうに口や舌を動かすことはなかなかうまくできませんでした。授業中に他の子が本文を読まされていたり空き時間があればいつも口や舌を動かしてきれいに発音する練習をしていた記憶があります。先生から見たら、「あの子ずっと口動いてるな」と思われていたのかもしれません(笑)(今と違ってきれいな発音をする子供なんてその当時はほとんどいなかったので、みんなの前で読むときは恥ずかしくて「棒読み」していましたが笑)そうやって発音記号と発音記号通りの発音を繰り返した結果、その「ルール」が勝手に身についたのです。そして、「見て読むだけで」つづりを覚えられるようになりました。ですから、つづりを覚えるのに苦労した記憶はありません。(中学生の私にとっては発音記号を書いたりそのように発音することは苦労ではなくカッコイイことだったのでしょう笑)だからこの方法については、生徒たちにも、1年生の始めには必ず言います。宿題として毎回確認することはできないけど、1年後にはみんなが苦労することを楽にできるようになるから、オススメやで、と。
ではなぜ強制しないのか?一つは時間的な問題です。もっとはっきりと言ってしまえば、授業でここに時間をかけることは無意味なことだと思っています。発音記号を書いただけでは何の役にも立ちません。せいぜい発音記号を覚えて終わりです。その発音記号通りに読むことが不可欠です。この方法は、結局は本人が毎回意識して発音しないことには身につかない方法です。逆に言えば、英会話教室できれいな発音を学んでいる生徒は、発音記号と組み合わせて単語を見るようにすれば、すごく効率の良い勉強方法につながるかもしれません。
もう一つはこれで全員がカバーできるとは考えにくいからです。一定数の生徒は理解して活用できるかもしれませんが、ほとんどの生徒にとっては消化不良の知識となる可能性があります。徹底することが必要だからです。私個人の経験で言えば、この方法で英単語を覚えたという人に出会ったことはありません。
だから、これについては強くオススメはしますが、各自の取り組みに委ねています。基本的には単語は何度も書いて読んで覚える。これが圧倒的多数の生徒にとって有用な方法だと思うので、その方法をとっていますが、これも前述した通り、本人の覚えようとする気持ちやその方法に左右されます。「うちの子は暗記が苦手なようで…」や「やり方がわからないようで…」とおっしゃる保護者の方は多いですが、きっとそれは大半が「苦手」なのではなく「面倒くさがっている」だけだと思います。私たちは効率よく覚えられる方法を教えています。しかし、いざ勉強をする時には生徒がその方法を活用しない場合がほとんどです。そうなれば私たちにはどうしようもありません。時間をかけて何度も話し続けることしかできません。

以上が英語の指導方針です。英文法をきちんと理解して英文を見ること、そして単語をきちんと覚えること、この2つを大きな柱として指導しています。どちらかが欠けてしまうとうまくいかないものですし、80点後半はいくのに90点には届かないという場合は、そのどちらかが中途半端な場合が多いように思います。

卒業生の入試結果をまとめた表を作っているのですが、英語の結果に関して今のところ感じているのは、中途入塾生の成績と初期入塾生の成績の違いです。英語という科目は、ご存知のように1年生の内容からすべてがつながっています。中途入塾生は自分なりの「クセ」を持って入塾してきます。そのクセを直すことはなかなか難しいことです。簡単に言ってしまえば「言うことを聞いてくれない」のです。これは私にとっての課題の一つだとも受け止めています。私の指導力不足によるところもあるのでしょう。しかし、結果として、教えた通りにしてくれる生徒は、志望校に関係なく、あるいは中途入塾であったとしても、比較的良い結果を出しているようですが、「我流」を貫く生徒はそうでない場合が多いようです。「我流」から抜け出すのは本人にとってすごく難しいし時間のかかることのようです。資料がそろえば、きちんと数値でお伝えしますが、これはなんとかしないとなと思ったりもしています。

『指導方針①②』を通して「学ぶこと」の深さをいろいろ話してきましたが、「教えること」にも深さがあります。私はまだまだ限界を決めずにさらなる深みを探ろうと日々思い指導しています。語弊はありますが、生徒から見ると楽しそうに授業をしているようでも、実は結構真剣なんです(笑)いつも自分の「今」を否定する視点を持つようにしています。みなさんも、「今」を否定して「もう一歩前へ」踏み出すことも必要かもしれません。

それでは長くなりましたが、今日はこの辺で失礼します。


sungrove

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